鑑賞会ニュース74号(平成31年1月7日発行)

 

新年あけましておめでとうございます。

あっという間に幕を開けた2019年。

今年も本ニュースをご覧になる方にとって穏やかな一年になりますように。

御刀を楽しめる一年となりますように!

それでは今回もボリューム満点のニュースをお送りいたします。


1.移動鑑賞会@秋保温泉(11月10日)

小雪がちらほら舞っていた、去る11月10日。

秋保温泉岩沼屋を会場に、移動鑑賞会を開催致しました。

 

今回も参加21名(うち一般参加5名)で

にぎやかな鑑賞会となりました。

 

今回は岩手県より熊谷様にお越しいただき、

異例の二部構成(一部:11口、二部:5口)で16口の入札鑑定、

仙台拵の鍔や縁金を鑑賞しました。

集中力を絶やさないよう差し入れのおはぎやお菓子で

適度に休憩を入れながら。

 

鑑賞会終了後は懇親会や温泉、

御刀も御刀談義もたっぷり楽しんだ一泊二日の鑑賞会でした♪

鑑賞会の詳細は次項のレポートをご参照ください。


2.鑑賞刀レポート

◆第一部 判者・解説 鈴木俊一会長

【一号刀】無銘(政光極め)
【二号刀】無銘(盛重極め
【三号刀】備前国住康光作
【四号刀】無銘(元重極め
【五号刀】横山祐包
【六号刀】三原正宗
【七号刀】無銘(来国俊極め
【八号刀】靖光(靖国刀) 
【九号刀】筑前金剛兵衛
【十号刀】無銘(末手掻極め

【十一号刀】水心子正秀 花押

◆第二部 判者・解説 熊谷和平氏

【一号刀】来国俊
【二号刀】用恵国包作
【三号刀】兼住
【四号刀】月山貞一
【五号刀】一関士宗明


◆第一部

【一号刀】刀 無銘(政光極め)二尺三寸 南北朝中期 備前国

大鋒で豪壮な印象が強く残る重要刀剣の政光。

大磨り上げ無銘で造り込みは長巻直しとなっている。

「長巻直しに鈍刀なし」との言葉があり、古来より長巻直しの刀には優品が多いとされている。

体配は大鋒、身幅が広く、重ねが薄い南北朝時代の典型的な姿。

片落ち互の目と小のたれの交じる刃文からまず兼光一門が思い浮かぶところである。

兼光一門には政光の他に倫光、基光などがおり、南北朝から室町初期までに活躍し、多くの優品を残している。

兼光には長巻直しの造り込みが少ないことなどが懸念され、

今作は兼光一門の中でも特に政光と極められた作である。

(赤荻亨 記)

【二号刀】刀 無銘(盛重極め) 二尺三寸七分 室町初期 備前国

腰開きの刃文が連なり、鮮やかな乱れ映りが現れる応永備前の盛重。

応永備前を代表する刀工と言えば盛光や康光などがまず思い浮かぶが、

今作の盛重はその応永備前の代表刀工である盛光の子であると云われている。

盛重は大宮系の刀工であるという説もあるが、現在は長船正系とする説が主流となりつつある。

 

刃文は応永備前の特徴である腰開きの互の目で乱れ映りが立ち、地鉄は板目に流れ肌が交じり、

全体としてはとても華やかな印象を感じさせる刀である。

(赤荻亨 記)

【三号刀】短刀 備前国住康光作 八寸一分 室町初期 備前国

寸が詰まって小振りな仕上がりとなった応永備前の康光の短刀。

応永備前の短刀は身幅の割に寸が延び、重ねが厚く反りが浅くついた大きめの姿となるが、

今作の康光の短刀は非常に小振りであり、従来の応永備前の短刀の典型的なものとは異なる姿をしている。

康光にはこうした寸の短いものが他にもいくつか現存しているようである。

康光は盛光と並ぶ応永備前を代表する刀工であり多くの優れた作品を残している。

今作は映りが僅かだが看取されるところもあり、銘は康光であるが、

どちらかというと康光よりも盛光に近い印象を受ける短刀である。

(赤荻亨 記)

【四号刀】刀 無銘(元重極め) 二尺三寸弱 南北朝初期 備前国

身幅が広く重ねが厚く、豪壮でずっしりとした重量感のある特別保存刀剣の元重。

備前長船元重は大蔵允と称し、長船守重の子で重真の兄であり、相伝備前の作風を表す刀工である。

作風としてはがっしりとした作品が多く地には映りが表れ、刃文は角張った片落互の目乱れが多く帽子は尖って返り兼光風になるものが多い。

元重の刀は古来よりその切れ味において定評があり、山田浅右衛門も最上大業物へと列挙している。

また、「鮭切り」と異名のある太刀や、豊臣秀吉の軍師竹中半兵衛重治の佩刀「虎御前」や滝川一益の佩刀も元重だったと云われている。

元重は初代、二代と続いた刀工であり、今作はその出来口から二代の元重の作ではないかと考えられている。

(赤荻亨 記)

【五号刀】刀 備州長船住横山祐包作 友成五十八代孫 二尺三寸五分 江戸後期 備前国

備前新々刀を代表する刀工として、横山祐包は著名な刀工です。

作風の多くは本作のような小板目微塵に詰み精美な鍛えに地沸細かにつき、刃文は匂出来で匂口の締まった華やかな丁子乱れ(菊花丁子)を得意としていますが、直刃の作もあるようです。

天保から明治の初めころまで活躍しました。

(今野利幸 記)

【六号刀】刀 備州住正宗 二尺二寸五分 室町中期 備後国

杢目交じる鍛えに、中直刃調に小互の目交じり、葉・足きれいに入り、淡く乱れ映り立つ。

広島県南部に三原という地名があり、備後三原で鍛刀していた正宗は三原正宗と呼ばれています。

また、備後には鎌倉初期に古三原正家が大和国の手掻系から移住したといわれており、大和伝が作風に現れます。三原は南北朝より古い三原物を「古三原」と称し、室町後期は「末三原」と呼ばれます。

(今野利幸 記)

【七号刀】脇差 無銘(来国俊極め) 一尺六寸五分 鎌倉後期 山城国

鎬造り、庵棟、身幅細身で、反りがつく。

鍛えは板目が詰み、地沸つき、刃文は小互の目・小丁子交じり、小沸つく。

帽子は直ぐに小丸に返るいわゆる富士帽子がみられる。彫物は棒樋を掻き通す。茎は磨り上げる。

言わずと知れた来一門を代表する刀工で鎌倉後期に活躍しました。

(今野利幸 記)

【八号刀】刀 靖光 昭和十三年五月吉日 二尺二寸五分 昭和初期 東京都

尋常な姿に、地鉄は緻密に詰み精美な鍛え、刃文は匂口締まった直刃となり、刃中は冴えて明るい。

来国光写しと思われる。

池田修治(初銘一光、後の靖光)は山形県で鍛冶屋の流れを汲む家に生まれ、水心子正秀に師事した祖父の池田一秀がおり、父の一光のもと鍛錬に励みました。

昭和8(1933)年、靖国神社境内に軍刀の鍛刀を目的に創設された「日本鍛錬会」が試作刀を募集し審査の結果、一光(修治)は見事選ばれ東京に移り住みます。そして、靖国神社の「靖」の字を賜り、「靖光」と改めました。

また、日本鍛錬会に所属している刀工の刀は「靖国刀」と呼ばれ、靖光はその代表工となります。

数年後、病に倒れた靖光は山形へ帰郷し、昭和16年、63歳で亡くなりました。

(今野利幸 記)

【九号刀】刀 筑前金剛兵衛 二尺三寸五分 室町初期 筑前国

直刃に肌立った地鉄、鑑定では珍しい金剛兵衛の刀。

金剛兵衛一派は鎌倉期に始まると言われ皆「盛」の字を切っている。

現存する作品は室町期の物が多く大振な銘と卒塔婆形と呼ばれる中心尻に特徴がある。

又この刀は光山押形に所載されている。

(國上涼 記)

【十号刀】短刀 無銘(末手掻極め) 九寸五分 室町初期 大和国

鑑賞会で室町期の刀というと備前物と関物が多く大和物は出る事は少ない。

末手掻は鎌倉期から続く手掻派の刀工達で伊勢に移住した刀工もいる。

この刀は無銘だが在銘の場合銘が中心の上の方に切られているのも手掻の特徴になっている。

(國上涼 記)

【十一号刀】短刀 水心子正秀 花押 九寸五分 江戸後期 武蔵国

正秀の後期作の備前伝と思われる短刀で規則的で高さの揃った丁子に無地風の地鉄。

前期作である濤瀾写しと比べると匂口も締まっている。

正秀は門弟の数も多く大慶直胤や細川正義など有名な刀工も多く、正秀の唱えた復古刀論を踏襲している。

(國上涼 記)

◆第一部 鑑賞刀レポート補足資料

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◆第二部

【一号刀】太刀 来国俊 二尺五寸六分 鎌倉後期 山城国

鎬造、庵棟、元先幅差あり腰反り高く「京反り」の姿、小鋒。

小板目よく積んで所々に弱い肌が入る。

地沸よくついて煌めき、地景こまかに入り淡い映りあり。

直刃調にのたれが交り、小足入り、柔らかな砂流しと金筋が入る。

帽子はすぐに小丸に返る。

鑢目切、目釘孔三、佩表の第一孔の上部棟寄りに三字銘あり。

 

来派 国俊の子とも同人ともいわれる。

両者を見極める際に「二字国俊は豪壮な姿、来国俊は優しい姿」という言葉を表したかのような姿。

経年による研ぎ減りは感じられても尚、古京物の伝統と品格を有する名刀然とした作品。

来派の鍛え肌は「来地鉄」と称され、特徴として佩裏の肌が荒れるといわれるが本作品にあまり見えず、

緻密に鍛え上げられた美しい肌を持っている。

(佐々木理恵 記)

【二号刀】刀 用恵国包作 二尺三寸三分 江戸初期 陸前国

鎬造、庵棟、鎬高く、身幅に比して鎬幅やや広く、元先幅差あり先反りつく。小鋒。

うねる柾目、奥に小杢目が入る。

地沸厚くついて地景よく入り、総じて潤いのある肌となる。

直刃の刃寄りに喰違刃、二重刃、砂流し入る。

帽子は焼き詰め。

差表の棟寄りに銘あり。

保昌派の特徴として鍛え肌が割れる(柾割れ)現象があるが、

通常であれば欠点となるが当派ではそうならず古保昌の鑑賞要素のひとつとなる。

新刀の作品である初代国包のみ柾割れは許される。

古保昌に限りなく近い作風から、初代が珍重された理由は推して知るべし。

 

初代国包。

大和保昌派の系統をひく子孫ともいわれており、伊達家の抱え工のひとり。

藩主伊達政宗の命により京三品派の越中守正俊に師事し、

帰郷後は「山城大掾」を受領して活動する。

政宗没後は入道し「仁沢用恵」を授かり隠居するものの、時折「用恵国包」銘で作刀することもあった。

本作品は貴重な「用恵国包」銘を有する資料的価値も有する品。

初代没後も十三代まで活動は続き、抱え工としての活動は幕末まで及んだ。

(佐々木理恵 記)

【三号刀】刀 兼住 二尺三寸八分 室町末期 美濃国

鎬造、庵棟、元先幅差ままあり先反りついて大鋒。

小板目に柾目交り鎬地は柾目。総じて潤いのある肌。

匂本位の互の目調に尖り刃を交え、所々に砂流し入る。

帽子は地蔵風。

鑢目は鷹の羽、差表の棟寄りに二字銘あり。

 

所謂「末関」と称される末美濃の作品。

一般的な末美濃の作品というと戦乱の消耗品として使われることが多く、

その場合は肌の荒れた作品が多いものだが、

本作は新作刀と見紛うような瑞々しい肌を有しており、

健全な姿のまま現代まで辿りついたことに感慨深さを覚えずにはいられない。

末関の刀工として一括りにされがちだが、

かなりの上手であり名鑑にも所蔵される隠れた名工のひとり。

(佐々木理恵 記)

【四号刀】刀 月山貞一 二尺二寸七分 江戸後期 摂津国

鎬造、庵棟、身幅広く重ね厚く豪壮。大鋒。幕末の刀の姿。

小板目つみ柾交り、直刃仕立ての刃文が刃寄りの部分で肌に連れてうねる。

 

月山貞吉の子。

綾杉肌という独特の鍛え肌を生み出した出羽月山の末裔として大阪で作刀し、

現代は奈良において活動を続けている。

出羽月山に対して新刀月山とも称される。

古作においては地鉄が刃寄りの部分でうねる(動く)特徴があるが、

本作も刃寄りの部分でうねる本科の風情があることから

ワンランク上の風情をもつ作品と評価されている。

(佐々木理恵 記)

【五号刀】刀 一関士宗明 二尺四寸 江戸後期 陸中国

鎬造、庵棟、身幅広く重ね厚く豪壮。やや先反りがつき大鋒。幕末の刀の姿。

小板目よくつみ地沸つく。

互の目に頭の丸い丁子が揃い、一定のリズムで連なる。

匂口締まって足入り、非常に明るい刃を焼いている。

帽子は乱れこんで小丸に返る。

 

固山宗次の弟子。一関藩に生まれる。

一関藩の命により江戸にて固山宗次に師事し、帰郷後は主に備前伝の作刀をおこなった。

作風は師匠宗次に似て上手、固山一門の中でも抜群の腕前であったと称されていることから

晩年の宗次の代作を務めたのではないかと考えられている。

(佐々木理恵 記)

◆第二部 鑑賞刀レポート補足資料

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3.今後の予定

◆小さいお知らせ◆

宮城県には日本刀の勉強ができる会がある。

宮刀保の存在を知ってほしい。

…ということをお知らせする右記のポスターを作りました。

鹽竈神社博物館様にて館内に後日貼って頂く予定です。

(日本刀に縁があり、宮刀保の事務局でもあります)

当HPやツイッターのURLが掲載されていますので

お気軽にアクセスくださいませ。

もし見かけましたら応援よろしくお願いします。

 

今後もどこかの施設に貼られているかも!?


4.会員通信

本ニュースの編集・配信・お菓子係のササキです。

 

いっやー、広報チームメンバーの皆様、すごいぜ…。

今回、鑑賞刀がかなりの数だったので一人あたり4~5口を書くという、

とってもハードな割り振りとなっておりました。

 

…が。(鼻濁音)

 

師走にも関わらず皆様、年内にシュパパパッとレポートを提出してくださいました(^w^)b

さすが皆様♪ 皆様エライ♪ 皆様グレート♪

 

…で、ササキはといいますと、年内に終わらず大晦日や元旦にもレポートを書いてました(^-^;)

夏休み最終日まで宿題をやらない学生のようです…。

とはいえ、正月休みに入れば出勤もありませんので、家事と諸用を済ませてしまえば自分の時間が取れます。

レポートというノルマはあるものの、日本刀の書籍と向き合う時間は大変心地よいものでした。

じっくり書籍と向き合う時間って必要だな…今年は積極的に時間を作ろう…。

 

そういえば年明けに別件で塩竃神社博物館へお邪魔した際、展示も拝見してきまして。

新春刀剣展とっても良かったです!

見応え抜群!

館内いたるところに解説の心配りが行き届いた展示会でした。

知識がなさすぎるのが悲しいわ…銘文をメモしてきたので書籍で調べてもう一度見に行きたいと思っています。

 

今年もまた皆様にとって今年もいろんな御刀が拝見できますように!

もちろんササキにとっても♪

 

以上、会員通信でした♪