鑑定会ニュース72号(平成30年7月20日発行)

例年にない暑さにもめげず、益々ご活躍のことと拝察致します。

今月号も楽しいお知らせ盛りだくさんで72号をお届けいたします。


1.名刀鑑賞会を開催(6月23日)

塩竈市公民館にて定例鑑賞会を開催しました!

参加者は総勢24名(内 見学2名)。

 

今回も高山武士先生より名刀をご持参頂き、

時間配分を心掛けつつ眼福の時間は

瞬く間に過ぎていったのでした。

鑑賞刀の詳細は次項をご覧ください。


2.鑑賞刀レポート

【一号刀】太刀 無銘(長光極め)備前国 鎌倉中期

鎬造り、庵棟、腰反り先へもやや反り加わり、中鋒。

地鉄は小板目よくつみ、地沸つき、乱れ映り鮮明に立つ。

刃文は丁子に互の目を交え、足・葉よく入り、匂勝ちに小沸つく。

帽子は直ぐ調に浅く湾れて僅かに小丸に返る。

腰反りつき、先へも反りがやや加わり、中鋒に結ぶ体配と地鉄に乱れ映りが立つことから

鎌倉中後期の備前物と捉えられます。

その中で考えると一文字派や長船派などが浮かびますが、福岡一文字であれば刃文の焼幅に広狭があり、

地鉄は長船物と比べると肌立つものとなります。

また親である光忠であれば、互の目はこれほど目立たず、もっと大丁子や蛙子丁子の華やかなものとなり、

鍛えは長光より緻密となります。

 

鎌倉時代の刀工の中でも長光は在銘の現存数が多く、

また作域も広く国宝である大般若長光や津田遠江長光等の前期作は

光忠の刃文や姿に近い華やかなものとなっています。

 

しかし時代が下るにつれ本作のような頭の丸い丁子や互の目が交じり比較的穏やかな刃文となり、

晩年には姿もやや細身で直刃を基調とした小丁子・小互の目の刃文や、

直刃出来と作風が変わっていきます。

(今野利幸 記)


【二号刀】短刀 「備州長船幸光/至徳二年三月日」 9寸前後 備前国 南北朝末期

 南北朝末期頃の備前物の総称である小反りの刀工。

姿は重ねが厚くやや細身に見える、小反りの短刀をあまり見たことが無いのでこれが南北朝末期の短刀の典型的な姿かどうかはわかりませんが室町初期~中期の姿に近いように感じました。

地鉄は板目が肌立ち映りが見え刃寄りに木目が入る。

刃文は丁子に見える小さな互の目が連ねて帽子は一文字返りの様になっている。

入札では応永備前は丁子が主体となる事が多いので除外して室町中期の備前物と小反りで迷いましたが室町中期ではあまり見ない細長い形の互の目だったので小反りに入札しました。

南北朝末期~室町中期は姿を見ると似ている姿も多いと思うのでしっかりと区分け出来るように勉強していきたいと思います。

(国上涼  記)



【三号刀】短刀 「宇多國次」8寸程  越中国  室町初期~中期

平造り、庵棟、身幅重ね頃合いのやや内反り。板目流れて杢混じりやや肌立ち白ける。北国物としての色味は感じず。彫り物、差表に三鈷柄剣、裏には梵字に護摩箸。刃文は 低いが腰刃を焼き湾れ加減に切っ先掃きかけ尖って返る。返りも一寸ほど刃幅やや広く湾れる。返り先から棟区迄細く焼きは繋がっている。刃中金筋、砂流ししきりに入り匂い口深く沸ほつれ。茎ぼてっと太く浅い栗尻で生ぶ。孔下に宇多物らしい大きな銘振り。

内反りの姿から鎌倉中期以降と見れましたが、内反り加減、元幅からフクラへの身幅の狭まり方等の違和感を感じられれば鎌倉時代とは見るべきではない姿。

後天的研ぎによる可能性もあると思うが、聞かば確かに違和感を感じていました。しかし具体的に意識、解釈できていない。その際は脇物に目を向けるのも必要であり、感じていただきたい所だそうです。

内反りとなる短刀は室町前期「永享、嘉吉、文安、宝徳」に少ないがままある姿との事。

映りは認識できなかったが焼き刃としてすごく良く、沸ほつれや切先尖り加減、棟焼きなども含め一の札は「左文字」。二の札で彫など造り込みから「信国」とどちらも南北朝期の反りのある作風から時代の相違。一番見てほしくないと言う判者の意図にはまる。

 

付属の金無垢台付きで紋の入った鎺は一般的な位列としては不釣り合いな組み合わせだが、就中「宇多国房」に於いては日枝神社所蔵の南北朝期の太刀は良き大和風情が顕著な物、また短刀で応永12年の物も鍛えの精良さは「来国俊」にも見紛う作位の高い物も有る(共に重美)

昭和26年登録、所持者は本短刀に於ける作位を評価の心意気として敢えて高価な誂えを施し本来の宇多物はこうしたものであるという密かな主張を表された一刀である。

(三浦弘貴 記)


【四号刀】脇差 「出羽大掾藤原国路」1.4~1.5寸程 山城国 江戸初期(慶長)

 

鎬造り、庵棟、身幅広く重ね頃合。ふんばりあり。刀身の上半からわずかに先反りつき大鋒。

地鉄はザングリとした肌に所々杢目交じり、地沸よくつき地景細かに入り、鎬地は柾目がかる。

刃文は沸本位で焼幅が広く、2~3ずつ連なった大きな互の目混じりの乱れ刃は所々二重刃がかり、

一見すると簾刃風。刃文の表裏揃う。刃中は盛んに砂流し、金筋が現れる。

帽子は横手で直ぐに入り、小さく乱れ込んで米粒大の小丸に返り、三品帽子風となる。

茎生ぶで形状はやや細め、先栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔一、指表孔やや棟寄りに長銘あり。 

 

国路は天正頃に京都在住の伊賀守金道(いがのかみきんみち)に師事し、当時は「国道」銘。

慶長14年頃より同在住の堀川国広(ほりかわくにひろ)に師事し、その頃から「国路」銘となる。

国広は国内各地で鍛刀し晩年は京都の堀川に落ち着き、後の名工を数多く育てた。

門弟のうち埋忠明寿、肥前国忠吉があげられる。

 

四号刀は金道・国広の作風が垣間見れる。

国路は晩年に「来国路」と銘切った作品があり、師匠の金道は美濃の三品派の鍛冶である。

美濃関鍛冶 三品派の刀工銘に「来」や「道」が付くことが多いことから、

自己のルーツは美濃にあることを表した銘であると考えられる。

(佐々木理恵 記)



【五号刀】刀 「肥前国住近江大掾藤原忠廣」肥前国 江戸初期

姿整い美しい地鉄の印象が強く残る二代忠広の刀。

小板目が非常によく詰み、肥前刀特有の地鉄である小糠肌が際立っている。

刃文は中直刃で匂口が明るく冴えており、帽子の返りの深さや沸の強さにより、

見るものにやや武張った印象を与え、優しい姿を特徴とする二代忠広よりも

三代である陸奥守忠吉へと見て取れる刀である。

 

忠広は初代忠吉の実子であり、本名は橋本平作郎。

寛永18年、近江大掾を受領。

受領後の正保、慶安頃が最盛期であったといわれる。

終生忠吉銘を襲名せず、忠広と銘した。

藩より屋敷と切米20石を拝領。元禄6年80歳にて没した。

 

長寿であった為に作品数は多いが、寛文3年頃からの晩年作には三代の代作も見受けられる。

三代は短命であったため現存数は少なく、

今作はその作風から三代忠吉の代作であったのではないだろうかと推測される。

(赤荻亨 記)

4.鑑賞刀レポート補足資料

クリックすると拡大できます


5.今後の予定

6.会員通信

本ニュースの編集・配信・お菓子係の佐々木です。

中部・九州を襲った豪雨災害に遭われました方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

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先月、人生初のスタジアムでのプロ野球観戦を地元で体験しまして。

相手チームの某青いマスコットキャラクターのファンになってしまいました。( ← そっちですか)

 

元々、ラジオで試合の中継を聴くのが好きだったので、観戦はとっても楽しかったです。

でも野球のルールはよくわかりません。

最近では岩手県出身の大谷投手の活躍が日本国内を沸かせていますね。

打球も投球もやる選手のことを「二刀流」と呼ぶ…「刀」の文字が入ってる!

刀に関する言葉は日本の地に空気や水のように自然に浸透しているんだなぁと、

スタジアムで某青いマスコットキャラクターの不思議な動きを目で追いながら感動していました(笑)

(思考が脱線気味)

 

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さてさて。

今回より、当ホームページにて定例鑑賞会のご案内をおこなう運びとなりました。

鑑賞会では刀剣…ある程度重さがあり、且つ鋭利な物を扱うため、

参加人数に適した広さと、刀剣の取り扱い方への理解が必要となります。

悪いことが重なればケガや事故が発生する可能性も充分ありますから…。

なによりも、参加者全員が楽しい思い出をもって帰路につけるのが一番の理想です。

 

そういった諸々の理由もあり、定例鑑賞会のご案内をおこなうにあたり、

参加人数と刀剣の取り扱い経験の有無を把握するため、

申込フォームで参加を募ることにしました。

 

で。

まさか大人数が一挙に押し寄せるような事態にはならないと思っていましたが、

鑑賞会当日まで一週間を切った頃、申込者ゼロという事態。

広報チーム内では、

「ま、次があるさ(^▽^)」

「長い目で捉えていきましょうっ」

と、前向きにワイワイ賑わっておりました。

 

と思ったら。

当日、2名の方にご来場いただきましたっ(^▽^)v
(申込みはなさっていたとのことで…大変失礼致しました)

 

早速、刀剣の取り扱い方法や礼儀作法をご理解頂いた後、自由に鑑賞して頂きました。

鑑賞会も無事に終わり、2名の方々も笑顔でお帰りになられたので

楽しんで頂けたのかなぁと思います。(^-^)

 

会員の皆様にも、一般からの参加者への優しいフォローや

レクチャー用のスペースをお借りできましたこと、御礼申し上げます。

次回は9月22日 川崎町公民館。

 

優しく楽しい日本刀講話会(午前の部)と、

日本刀を実際に手に取ってみられる鑑賞会(午後の部)でお待ちしております♪

こちらのイベントは申込み等の手続きは一切不要です。

 

「日本刀に興味はあるけれど、よくわからないや…」という方、ぜひぜひ(^-^)

刀剣の取り扱い方が初めての方にはしっかりお教え致します。

加えて、刀剣の歴史や各部名称、刃文や鍛え肌といった

日本刀の美しさのモトを視覚的に興味をもって鑑賞に臨めるような

パワーポイントによるスライドデータも用意する予定です。

 

こちらの資料は主にSNS(ソーシャルネットワークサービス)を拠点に

日本刀文化の啓蒙を目的にイベントを通して幅広く交流を行っている

団体「刀剣インターネットコミュニティー(略称 刀ネコ)」代表 澤田康則様より

無償でお譲り頂きました。

鑑賞会では閲覧用のパソコンを常設し、

初心者の方が「知りたい!」時にタイムリーに説明できるツールとして活用致します。

 

楽しく、安全に、日本刀たっぷりな一日を

来場頂いた皆様とご一緒できたら嬉しいです。

 

また今回、スライドデータ等のプレゼンテーション用機材として、

当会員のT様よりノートパソコン1台を寄贈頂きました。

 

…とっても頼もしいアイテムです!

 

今後、ぜひ活用させて頂きたいと思います!

T様も温かい目で見守って下さると嬉しいです。

 

以上、会員通信でしたっ(^▽^)ノ