No.5 茂木 裕樹氏(宮城県美術刀剣保存協会 理事)

鹽竈神社博物館の学芸員主事

宮城県美術刀剣保存協会 理事

時 : 平成31年3月13日(水)13時〜

場所 : 鹽竈市 鹽竈神社博物館

聞き手 同協会 赤荻亨 三浦弘貴

 

今回は宮刀保の理事を務められ、鹽竈神社博物館の学芸員主事でもあります茂木裕樹氏へインタビュー取材を行いました。

どうぞご覧下さい。

 

聞き手 - 本日はお仕事お忙しい中お時間いただきましてありがとうございます。

今までにじっくりとお話する機会が中々ありませんでしたので、今回はインタビューを通じて日本刀や鹽竈神社博物館について色々とお伺いできればと思っています。

どうぞよろしくお願い致します。


もくじ

 

質問1:日本刀と深く関わるようになったきっかけ、また出会った頃の思い出話などありましたらお聞かせ下さい。

質問2:今までで印象に残った刀など何かありましたらお聞かせ下さい。

質問3:日本刀の魅力について何かありましたらお聞かせ下さい。

質問4:これから刀を勉強してみようという方へ何かありましたらお聞かせ下さい。

質問5:鹽竈神社博物館の見どころなどございましたらお聞かせください。

質問6:最後になりますが茂木理事にとって日本刀とはどのような存在でありますか。


質問1:日本刀と深く関わるようになったきっかけ、また出会った頃の思い出話などありましたらお聞かせ下さい。

私が日本刀と深く関わるようになったのは今から20年程前になりますか、この鹽竈神社博物館へと勤めるようになったのがきっかけとなりますね。

 

鹽竈神社博物館は刀の所蔵品も多いので、そうした刀が身近にある環境の中で、自分でも刀の取り扱い等をしっかり出来ないといけないということもあり、そうした環境で過ごす日々の中から色々と刀を深く勉強するようになっていきましたね。

 

また博物館に勤めるようになってから3年程経った頃でしょうか、平成13年のお正月にちょうど宮刀保の50周年記念ということで「仙台藩ゆかりの名刀展」という展示会の方を開催したのですが、その時に初めて宮刀保のみなさんとご一緒することとなり、それから仙台藩の郷土刀等を一緒に研究していくようになりました。

 

宮刀保のみなさんと親しくお付き合いをするきっかけにもなった展示会でしたね。


質問2:今までで印象に残った刀など何かありましたらお聞かせ下さい。

 

そうですね、やはり鹽竈神社博物館蔵の重要文化財の「来国光」と「雲生」ですかね。

 

来国光は歴代藩主の中でも特に鹽竈神社に崇敬が厚かった四代藩主伊達綱村公が、領国安寧の願いを託して奉納され、宝物として現在に伝わっている刀で、今でも見る度に新しい発見があります。

 

山城物特有の精美で気品のある太刀姿であり、健全で素晴らしい名刀であると思います。

 

また雲生は鹽竈神社の社家のうち、右宮一禰宜を世襲した春日家に伝来した刀で、江戸時代から鹽竈神社の宝物として広く知られた刀でもありますね。

 

この二振りの刀が今までに見た刀の中でも特に印象に残った刀で、また現在も私の身近に存在している名刀としてとても大きな影響を与えている刀であると思います。


質問3:日本刀の魅力について何かありましたらお聞かせ下さい。

 

そうですね、日本刀は美術品としての素晴らしさはもちろんですが、その中でも特に大きな魅力とすれば、それはやはり作品を通して異なる時代の作者達と対話ができるということだと思いますね。

 

今よりもずっと古い時代の、何百年前の人であっても、日本刀という作品を通じて人と人とのコミュニケーションができることが大きな魅力の一つであると思います。

 

日本刀とより深くつながることによってその刀工達の感性、価値観、またその刀工達の生きた時代の歴史的背景などを感じ取ることができ、そしてそのつながりの中で感じられ、そこから得られるものとは、私達現代人にとってとても貴重な財産的価値を有するものなのではないかと思っています。

 

そうした素晴らしい価値のある情報を、時間と空間を超え、各時代の刀工達と共有できることが日本刀の一番の魅力ではないかと思いますね。


質問4:これから刀を勉強してみようという方へ何かありましたらお聞かせ下さい。

 

そうですね、まずは自分のペースに合わせて刀を楽しんで欲しいなということですかね。

 

また近年は刀剣乱舞等のゲームの影響から刀剣女子と呼ばれる方達も多くなり、そういった日本刀ブームもあって刀に興味を持たれる方達も大分増えて来ていると思います。

 

そうしたゲームやキャラクター等の影響で日本刀に興味を持ったところから、また一歩進んで日本刀の鑑賞方法や手入れなどの取り扱い作法、また文化的財産としての価値などを学んで、そしてより日本刀への知見を深めていかれるよう勉強してもらえると良いと思いますね。

 

また日本刀は長い歴史のある文化財、文化遺産でありますので、一朝一夕にはそうした刀の鑑識力や知識等を身に付けるのは難しいことだと思います。

 

自分のペース、自分に合った勉強方法などを見つけ出し、そして日本刀と長く親しく付き合っていけるような方法を探して行ってもらえればと思います。


質問5:鹽竈神社博物館の見どころなどございましたらお聞かせください。

 

そうですね、鹽竈神社博物館は先ほどのご質問の中でもお答えした重要文化財の「来国光」と「雲生」はぜひご覧いただきたいと思います。

 

また博物館には歴代の仙台藩主が代々奉納された刀が数多く残されており、その中でも特に仙台藩を代表する刀工で全国的にも大きな影響を与えた「国包」や「安倫」の刀等も展示されています。

 

国包は柾目鍛えに直刃を基調とした沸出来の刃文で、大和伝の作風をあらわす仙台藩で最も著名な刀工であり、仙台藩の他の刀工にも大きな影響を与えて江戸時代の刀工の作風にも取り入れられる等、正に仙台藩の刀工の作風を生み出した源となる刀工であります。

 

また安倫も品川屋敷で隠居の日々を送った三代藩主伊達綱宗公の作刀の相槌を務めたとして知られる、技倆に優れた仙台藩を代表する刀工であります。

 

そうした素晴らしい刀工の刀をできる限り親しみやすく、みなさんにご理解してもらえるようにライティングなども随時工夫しながら展示の方行っています。

 

毎年お正月の展示などでは郷土の刀工をテーマに展示会を開催することも多いです。

 

最近では刀剣ブームもあり、ご来場者も例年よりも増えてきていますので、鹽竈神社へご参拝の折にはぜひ鹽竈神社博物館の方にも足をお運びいただけたらと思います。


質問6:最後になりますが茂木理事にとって日本刀とはどのような存在でありますか。

 

そうですね、私にとって日本刀は博物館での活動から考えていくと、正にライフワークそのものですね。

 

博物館に勤める中でこれからもより深く携わり続けていく存在が日本刀であると思っています。

 

今後も郷土刀の調査研究等を進め、一人でも多くのみなさんにより日本刀の素晴らしさを知ってもらうために博物館での活動を続け、そして日本刀と親しみ、時間と空間を超えて、これからも様々な時代の刀工達とより深くつながることができればいいなと思っています。

聞き手 - 

はい。それではお時間になりましたのでインタビューの方は終わりとなります。

これからも郷土刀の研究を重ね、鹽竈神社博物館の名刀を守り続けて行って下さい。

本日はお忙しい中ご協力いただきまして大変ありがとうございました。

(文責 同協会 赤荻亨、三浦弘貴)